GOCHITABI DAIRY
ご馳走旅日記
宮崎県日向市に伝わる香酸柑橘「へべす」。
切った瞬間、ふわりと広がる爽やかな香りに驚かされます。やわらかな皮から果汁がにじみ出て、酸味の中に残る軽やかな余韻が印象的でした。
その名は、江戸時代にこの地で果実を見つけた長曾我部平兵衛さんに由来するといわれています。1本の木に咲く花はおよそ1万ですが、そのうち実を結ぶのは500〜700個だけと聞き、改めてその貴重さを実感しました。
黒木ヘベスファームでは、ハウスと露地の両方で栽培を行っています。ハウスでは温風加温によって6月から出荷が始まり、露地物は8月以降。収穫の際は、直径4cm以内のものだけが「リング」を通過して市場へ。さらにヘタを残して摘み取らないと水分が抜けてしまうため、ひとつひとつ丁寧に手作業で収穫されています。
葉は山椒を思わせる香りを持ち、露地栽培の果実はより力強い味わいに。かつてはダニ被害に悩まされましたが、有機JAS認証の薬剤を取り入れるなど工夫を重ね、品質を守り続けています。
実際に果汁を味わってみると、酸味の奥にすっと残る香りが心地よかったです。旬の魚介の揚げ物や唐揚げに絞れば、レモンにはないやさしい酸味。煮付けやだしに加えれば、奥行きのある香りが一皿をさらに深めてくれそうです。
この季節にしか出会えない黒木ヘベスファームの果実を、ぜひ、わたしたちのレストランでも取り入れたいと考えています。