ご馳走旅日記
発酵の魔法が生む世界唯一の魚醤
料理人なら説明不要の存在…そう、”鮎魚醤”。それを求めて訪ねたのは、“原次郎左衛門まるはら醤油”。
“鮎魚醤”の生まれは大分県・日田。和食に使うように思われる方が多いかもしれませんが、実は洋食の隠し味に多用されており、料理のソースに数滴…といった具合に、世界中のシェフから「嫌な香りが全くしない世界唯一の魚醤」として愛されています。確かに、魚醤特有のクセはあるものの、嫌な香りとまではいかない。この絶妙な香りの奥には、手間ひまかけた発酵管理の秘密が隠されていました。
原料となる鮎は言わずと知れた高級魚。もともとは地元で骨折れの鮎を有効活用するために始まったものですが、今では一度の仕込みで約13,000匹を使用。それでも需要に生産が追いつかない人気ぶり。魚醤は一般的にそれほど手間がかからないものですが、ここでは段違いに大変な発酵管理を経てつくられています。
熟成が生む白い粒と角の取れた旨味
そして、瓶底に沈殿する白い粒。チロシンと呼ばれるペプチドがアミノ酸に変わる過程で現れるもので、これが出る魚醤は、間違いなく旨いとされているのですが、消費者からは「白カビ!?」と敬遠されることもあるそうですが、有名シェフたちはあえてこれを指定買いするほど。実際に味見させてもらうと、角が取れたまろやかな旨味が舌に広がり、思わず納得。3年以上熟成させると出やすいそうですが、食品衛生上、賞味期限の表記は2年にしなければならないそうですが、興味のある方は自己責任で試してみてはいかがでしょうか。
職人技が凝縮された”鮎魚醤”、その背景を知ると、ますます特別な一滴に感じられます。