SEASON 2 P TEAM
新たな指標を掲げ進化させる者たち
関東エリアのシェフで構成
エリアを絞り、自店舗から比較的近い地域を深掘りすることで
より有用性の高い食材との巡り合いを期待する
0期、1期のメンバーのバトンを受け取り、新たな指標を掲げ
この旅を進化させる者たち
ご馳走旅日記
尊厳とともに生きる飛米牛
“熟女牛”。食に興味を持つ者なら、それが何であるのかは想像するに容易い、しかし妖艶な響きが印象的なその言葉を聞いたのは、12月初旬にも関わらず、すでに雪深い飛騨の古川盆地。
現在は飛米牛(ひめぎゅう)と呼ばれる牛たちは、お産の役目を終えて、ここ蒲生畜産に引き取られた経産牛のこと。語呂合わせに加え、お姫様のように扱うというのも名前の由来です。そしてこの日は、蒲生さんが扱うもう一種、ブランド和牛としても名高い”飛騨牛”の出荷日。
寒さでかじかむ手をこすりながら、滑らないように運搬車のスロープに畳を並べ、牛たちを誘導。頭には立派な角が残っており、かなり危険が伴う作業だと見受けられますが、それでも角を残す理由は、「角は牛の尊厳だから…」と。実際に、角を落とした牛は明らかに元気がなくなるという。自身の武器である角がなくなってしまうと、生きる気力を失ってしまうんだろう。と、教えてくれました。
米と酒がつくる飛騨の旨み
さらに、飼料に関しては、「人間が旨けりゃ牛も旨いだろ。」という、ご本人曰くシンプルな考え方を貫き、飛米牛には米粉を、飛騨牛には、飛騨の酒”蓬莱“の酒粕が与えられています。一方、飼料や屠畜方法などのルールに厳しいハラール認証を取得した牛もおり、中東で人気の高い蒲生さんの商品は高値で取引されます。カタールワールドカップの際はサッカー日本代表用の食材としても提供したそうです。
近年、赤身の肉に人気が集中していますが、霜降り肉は私たち日本人にとって、やはり「ハレの日の食べ物」。この日の宿で味見を兼ね行った試作では、朴葉味噌焼きに。すき焼き用の飛騨肉は、きめ細かなサシのコントラストが美しく、溶け出す脂の旨みがまとわりつく肉質は素晴らしいものでした。
素晴らしい味はもちろん、蒲生さんの畜産哲学を垣間見ることができた非常に有意義な視察となりました。