ご馳走旅日記
—— 宮崎・門川「さーて くろしお」のカラスミ
カラスミと聞くと、少しクセが強い珍味というイメージを持っていませんか?
実は私もそう思っていました。でも、〈さーて くろしお〉のカラスミは、まったく違ったのです。
まず驚いたのは、そのしっとりとした食感と、まろやかで上品な味わい。
しょっぱすぎることもなく、噛むほどにじんわりと旨味が広がります。
カラスミそばやパスタのように、カラスミ自体が主役になるような料理で、その魅力がぐっと引き立つと感じました。
このおいしさは、丁寧な手仕事から生まれています。
使用するのは、宮崎の塩と焼酎で仕込んだ「沖ボラ」という魚の卵。
特有のクセをなくすために、血抜きや下処理をしっかりと行っているそうです。
その後、天日干しと同じ環境を再現した特別な部屋で、温度や湿度、風などを細かく調整しながら、じっくりと熟成させています。
この部屋では、毎週約90kgものカラスミが安定して作られており、1匹の魚から取れる量(=歩留まり)も、一般的な数値より高い40%を誇るのだとか。
信頼できる魚屋さんと連携し、年間を通して安定した品質で作り続けているそうです。
そして、〈さーて くろしお〉のもうひとつの魅力が、地域に根ざした取り組みです。
地元の高校生や障がいのある方々の雇用を積極的に受け入れ、ものづくりの現場を通して地域とのつながりを大切にしています。
「カラスミの値段を上げる前に、きちんと土壌を育てていかなければならない」。
そんな想いのもと、若い世代にも手に取ってもらえるようなカラスミづくりを目指しているのが印象的でした。
お料理の味を引き立てる名脇役としても、そのままで楽しむ主役としても。
〈さーて くろしお〉のカラスミを、ぜひ一度味わってみてください。